6195アメリカ、民主主義を破壊するのは誰か?(La Jornada紙社説)(191218)

 今日、ドナルド・トランプ大統領に対して、下院が弾劾手続を開始するかどうかを決定する投票が行われることになっている。トランプは弾劾にに直面する3人目の米国大統領である。 昨日までは、投票は党主導で行われることになっていたが、これに反対するのは2人の民主党議員だけであり、すべての共和党員は大物(トランプ)にしたがうことで決着した。

 トランプは、彼の政治裁判に関する差し迫った論戦について野党の指導者ナンシー・ペロシに宛てた書簡で反論した。

 その中で、大統領は「250年近くの合衆国の立法史において比類のない」違憲な虐待として、この手続き全体を非難した。 彼は、弾劾の始まりは「アメリカの民主主義に開かれた戦争」であると言い、彼に対する小うるさい調査を「魔女狩り」だとした。また、彼を裁判に導く試みは、来年11月の選挙で非常に高い政治的費用をもたらすだろうと民主党員を脅した。

 しかし、この弾劾プロセスの本質を簡単に振り返ってみるとき、共和党の大物(トランプ)の逆告発は真実味に欠けているし、もし議会が非難されるとしたら、法的に許される範囲内で、大統領の個人的あるいは制度的な行動にブレーキをかけられなかったことである。

 したがって、その不明朗な財政管理と性的略奪者としての振る舞いに加えて、2016年に選挙キャンペーン・チームとロシアのビジネスマンとの間で取り組まれた違法な協力を追加すべきである。この犯罪行為を通じて、民主党のライバルであるヒラリー・クリントンの立場を損なった。この時、この二人がホワイトハウスに到達しようとしていた。これらの行動はいずれも、政治裁判の開始に値する。しかし、議会の民主党の反対派は、政治的慎重さ又は単なる日和見によって、行政との緊張を高めないことを選択した。

 現在のプロセスでは、トランプがウクライナに与える軍事援助に条件を付けることで権力を濫用し、同国の当局が元副大統領兼民主党大統領候補のジョー・バイデンと彼の息子ハンターを犯罪的に迫害したことを覚えておくべきである。

 トランプは、相手のヴォロディミール・ゼレンスキーとの電話での会話の暴露によって生じる論理的な疑念に対して、制度的に求められる行動を示すどころか、照会に対して明らかで体系的な妨害行為を行った。これにより下院民主党の過半数は、弾劾プロセスを開始する以外に選択肢がなかった。

 米国の極度の二極化は、権力の恣意的な使用に対する歯止めに起因するものではなく、ホワイトハウスの住人とその利益、計算、気まぐれが法に違反しているかどうかに起因するものである。トランプが事態を引きずろうとする意図は、これまでの政治的危機への対処方法を見れば明らかである。

 大統領は、上院の共和党の過半数の助けで、無罪判決が出ることはほぼ完全に確実だが、極右勢力と癒着して、前例のないレベルの緊張を自国にもたらし、国家の分裂を引き起こそうとしている。

(La Jornada Editorial 2019/12/17:EU:¿quién destruye la democracia?)

ラテンアメリカから見た世界と日本

2004年9月から2012年2月までの約7年半の期間、「ラテンアメリカから見ると」のタイトルでブログを維持していましたが、力を入れすぎて目が痛くなり、撤退しました(通巻6175号)。  スペイン語の勉強を再開したこともあって、ブログも再開しました。

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