6192 COP25:壊滅的な失敗(LaJornada社説191216)

 国連事務総長のアントニオ・グテーレスは、196か国が参加しマドリッドで開かれた国連気候変動枠組条約締約国会議(COP25)で、二日遅れの最終宣言について、“失望させるもの”と評価した。

 国際科学コミュニティの憂慮すべき予測によれば、産業、輸送、サービス、商業、農業、農業から発する温室効果ガス(GHG)による地球温暖化が加速的に進んでいるにもかかわらず、スペインの首都に集まった各国当局者は、「パリ協定(2015)」を遵守するための具体的な措置すら同意できなかった。

 同協定では、地球の温度がさらに上昇するのを防ぐためにすべての関係者が温室効果ガスの排出を制限しなければならないとし、地球気温を摂氏1.5度に抑制することとなっているが、国連の試算によれば、現在の封じ込め又は削減プログラムでは、3.2度までの上昇と環境崩壊をもたらす。

 一方、会議から出された文書では、京都会議で確立された「二酸化炭素市場」、つまりガスの排出割当量を交換し、1997年に確立された最小目標の順守を促進するメカニズムは言及されていない。

 さらに、メキシコ代表が提案していた先住民族の権利などをレポートに含めなかった。

 マドリッド宣言の唯一内容のある事は、スコットランドのグラスゴーで11月に予定されているCOPの第26回会議で、排出を削減するための“より野心的な”計画を提示する“よう奨励”することであった。

 これは(排出ガスどころか)煙ほどの意味もない中身だった。

 確かに、メキシコを含む84か国は、次の会議でよりエネルギッシュな排出削減プログラムを発表することを約束したが、その中には、排出ガスの半分以上の責任がある中国、米国、インド、ロシアが入っておらず、また巨大な汚染国である日本、ブラジル、サウジアラビアも入っていない。

 ここで見えるのは、これらの国々が環境問題を国の政治議題に含めることだけが、その怠慢と無責任な態度を実質的に変えられるのだが、気候変動についての科学的根拠を受け入れようとしないものもある。

 ドナルド・トランプは、「地球温暖化は中国が対米通商競争に勝つための発明である。」としている。

 確かに、経済活動によって生じる環境への影響を大幅に減衰させるためには多額の投資を余儀なくされ、利益と汚染をもたらすビジネスは不要になる。

 しかし、この現象は結局のところ、救済もビジネス機会ももたらさない大きな厄災をもたらすことは明らかである。

(La Jornada Editorial2019/12/16:COP25 fracaso catastrófico)

ラテンアメリカから見た世界と日本

2004年9月から2012年2月までの約7年半の期間、「ラテンアメリカから見ると」のタイトルでブログを維持していましたが、力を入れすぎて目が痛くなり、撤退しました(通巻6175号)。  スペイン語の勉強を再開したこともあって、ブログも再開しました。

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