6216ベネズエラ:国内で流通しているドルはどこから?(200115)

 ニコラス・マドゥロが権力を握って以来、深刻な経済危機に陥ったベネズエラでは、400万人以上がより良い生活を求めて国を去った。

 ベネズエラ政府は、長年にわたる米国通貨の規制の後、公式通貨であるボリバルの止まらない価値喪失から、マドゥロは「逃避弁」としてのドルの使用がやむを得ないとの態度を示し始めている。

 当局が公にすることはないが、並行(ヤミ)市場の通貨を毎日交換する専門家や多くの住民によると、政府はハイパーインフレとドル相場をコントロールするために、通貨ボリバルを強力に封じ込める政策を適用している。

 そして、これがベネズエラのドル化を加速しており、調査会社エコナリティカ社のレポートによるとドルは、すでにベネズエラで行われる取引総額の53%以上をカバーしている。

 ベネズエラの経済は米国の制裁下にあり、マドゥーロ政権の資金調達を締め付けていることとは矛盾している。

 では、ベネズエラにグリーン紙幣(ドル)は、どのようにベネズエラに来ているのか?特権階級が使用している貨幣はどこから来ているのか?

 専門家の助けを借りて、何とか、この質問に答えよう。

 当局が、何年もの間経済と社会生活に関する信頼できるデータを発表していない国では、答えるのがほとんど不可能な質問ではある。

 ベネズエラの透明度についてはTransparency Internationalが作成した世界ランキングで、合計180か国中168位にランクされている。データがないため、2020年には国際通貨基金が予測をしていない数少ない国の1つである。

 エコナリティカのエコノミスト・ギジェルモ・アルカイは、「ベネズエラでどれだけのドルが流通しているかを知るのは不可能だが、それが膨大な量であることは確かである。」と言う。 「ドルの総額はボリバルよりも多く、7億から8億ドルと推定されている。」

 計量経済コンサルタントのヘンケル・ガルシアは、「流通するドルの大部分は、多くのベネズエラ人が長年海外で貯蓄しているものだ。」と説明している。

 ボリバルは長い間非常に不安定な通貨であり、インフレで長い間その価値を失ってきたため、アルゼンチンと同様な事情から余裕ある人々は皆、ドルで貯蓄するようになった。

 したがって、多くのベネズエラ人は米国の銀行に口座を持っているが、一部の人々は米国の制裁の影響を受ける恐れからキャンセルしている。

 携帯電話で米国のアカウント間で資金を移動でき、またコーヒー代のような日常的な支払いに使えるる無料のシステムであるZelleなどの電子決済方法の人気は、これを表している。

 アルカイによると、「ベネズエラの経済を動かす資金の多くが米国金融システムの中で動いており、異常だ。」

 別の一般的な方法は、海外の口座に振り替えられるドルと引き換えに、現金でドルを手に入れることである。

 国外に口座を持っているベネズエラ人は、しばしば海外を訪れてドルを持ってくる。こうした動きは政府による最近の自由化の動きにもかかわらず、依然として障害となっている。

 国連のデータによると、近年、ベネズエラ総人口の推定10%以上が国を去っている。

 しかし、こうした四散した人々の数にもかかわらず、この国は海外からのドル送金をほとんど受けていない。少なくとも、技術的に送金と見なされるものはほとんどない。

 制裁措置などにより、移住したベネズエラ人が外国からドルを送ることが難しくなっている。

 政府から認可された少数の両替所のみが通貨の送金を直接受け取ることができ、専門家は、「正式な送金の金額は全体に比べて少ない」。

 そこで、 ベネズエラ人は別の経路を探す必要があった。

 専門家は、「送金は届くが、ボリバルをドルに交換する人々を通じて行われる。」と説明している。

 このメカニズムは、ベネズエラの銀行口座のボリバルに相当額を預けることができる誰かの、海外の口座にドルを預けることから成ります。

 繰り返せば、不透明に運営されている経済では、流通している金額を決定することは不可能であり、多くのベネズエラ移民がまだ国内に住んでいる親族を助ける経路になっている。

 アルカイが言うように、「価値損失を避けるために、人々は迅速にボリバルを使うので、インフレを加速する。」

 ベネズエラ政府は、国内でのドルの使用を保護する法的変更をしようとしておらず、この点について、シンテシス・フィナンシエラ社のタマラ・エレラ部長は、「寛容な政策はありうるが、真の自由化はない。」と断言する。

 専門家によると、ベネズエラで行われている非公式のドル交換は、違法行為の原因となっている。

 レオンは、ドルがその出所をたどることなく流通している経済は、「麻薬密売人やその他の犯罪者にとって理想的な環境だ。」と考える。

 アナリストは、違法な資金が国の内部に流れる原因の1つは、多孔質で国家間で対立する国境だと考えている。

 コロンビア、ブラジル、ガイアナとの国境地域は、国際危機グループなどの組織が報告したように、ガソリン、貴重な鉱物、その他の商品を密輸する一般的なルートである。

 昨年の報告書では、この地域では「ベネズエラの犯罪組織とコロンビアのゲリラ・グループが、国の南部で新たな脅威を生み出している。」としている。

 ドル化は、上手く動き回る企業が通貨で大量の現金を蓄積する原因になっています。

 これまで、利益を銀行の口座に預けることは限られていたが、

ベネズエラの銀行は新しい現実に適応し始めており、すでにいくつかの預託および預金サービスを提供し始めている。

 そのサービスは まだ初歩的であり、経済が正常な国の銀行が提供する複雑な商品とはほど遠いが、専門家は徐々に洗練されると予測している。

 アルカイはこれをはっきりと見てとっている。「ドルはすべてを変えており、それが続くだろう。」

BBC Mundo(2020/1/15):Venezuela: de dónde salen los dólares que circulan en el país (y por qué se cree que ya hay más que bolívares)Venezuela: de dónde salen los dólares que circulan en el país (y por qué se cree que ya hay más que bolívares)

ラテンアメリカから見た世界と日本

2004年9月から2012年2月までの約7年半の期間、「ラテンアメリカから見ると」のタイトルでブログを維持していましたが、力を入れすぎて目が痛くなり、撤退しました(通巻6175号)。  スペイン語の勉強を再開したこともあって、ブログも再開しました。

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