6204チリ:止まらない弾圧(La Jornada紙社説191223)

 サンティアゴ地下鉄運賃を引き上げようとする政府の方針に対する抗議活動が始まってから2ヶ月が経過しようとしている。想定外の不満はすぐに他の地域に広まり、明確な方向を目指している。それは、サルバドール・アジェンデ大統領(1973)を倒した軍事独裁政権の登場以来、チリに広がってきた新自由主義モデルに終止符を打とうとすることである。

 同様にこの活動は、現制度では国民意志の代表性が不十分だとする一方、独裁政権の残党による、経済運営と国家構造への実質的な変化を妨げようとする圧力の下で起草された、1980年の文書に代わる、新しい憲法の起草を要求するものである。

 右翼勢力のセバスチャン・ピニェラが率いる政府は、抗議に対する理解を装っており、その意味で、前述の引き上げを事実上放棄し、閣僚を解任し、労働と教育の問題で若干の譲歩を提案した。

 一方、与党は、新しい憲法の草案に対する国民の要求を和らげることを提案した。しかし、チリの政権は、孤立し、弱体化し、正当性をますます欠くようになり、国家モデルに大きな変化をもたらす意図がないことが明らかである。一見うらやましいほどの成長を見せているチリは、大多数の人々にとって不平等の法外な拡大と基本的権利、特に教育、労働、健康の権利の喪失をもたらしている。

 しかし、最も憂慮すべきことは、開始から2か月、衰退の兆候を見せない大規模デモに対する政権の残忍な抑圧が続いていることである。治安当局は、デモ参加者や歩行者にゴム製ペレットを発射し、あるいは催涙ガスを道路、公園、さらには学校や住宅までまき散らし、20人以上を殺害し、数千人を負傷させ、レイプやその他の性的暴行を女性や男性に行った。また他の形の拷問をしている。

 近距離で発射された銃で片目又は両目を目を失った数十人の若者に関する情報が世界中に広まり、警察の性的虐待がフェミニストの抗議「道ばたにいる強姦者」を引き起こした。そして、野蛮さはその限度を超えている。先週末、世論は2台の警察者の間で押しつけられた若者の姿をビデオで見て震え上がった。

 見落としてはならないことは、ピニェラ政権の異常な抑圧的野蛮さは、ピノチェトの暴力的な独裁制の基盤を持っているということであり、国民の基本的権利抑圧の世界的な見本である。今日チリの路上で活動する若者は、軍事政権の恐怖に直面しなかった世代であり、したがって、彼らにはあの時代を生きた人々に刻み込まれた恐怖はない。政府は、自らに立ち向かう勢力を抑圧するために、組織的な暴力を持って対峙することが民主的であるか自問する必要がある。また、ピノチェトの軍事専制政治時代に執られた手段と異なっていないかと。

La Jornada Editorial(2019/12/23):Chile:represión que no cesa

ラテンアメリカから見た世界と日本

2004年9月から2012年2月までの約7年半の期間、「ラテンアメリカから見ると」のタイトルでブログを維持していましたが、力を入れすぎて目が痛くなり、撤退しました(通巻6175号)。  スペイン語の勉強を再開したこともあって、ブログも再開しました。

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